前回は【指のアーチ】のお話しを致しました。
今回は、その続編
ゲンコツは何故《中指と人差し指》のMP関節を当てるかです。
空手の拳は、人差し指と中指の二箇所を対象物に当てに行きます。
いわゆる『正拳』です。
中指から薬指 小指の方が当てる面積が広く安定しそうですが
前回のお話しで
【指の縦アーチ】である中指と人差し指が剛性が高いと説明しました。
薬指や小指は握り込むには適していますが骨折も多いです。
私も、以前疲労骨折を経験した事がありました。
薬指や小指はボクサー骨折も多発する部位です。
よって面積の広い 中指 薬指 小指よりも
空手の握りで使われる『剛性の高い中指・示指』の二箇所が有効です。
握り方は
中指を中心にしっかり縦に握り込み親指と小指を近づける様に横から抑えます。
次に拳の角度です。
打撃経験のある方はご存知でしょうが、人やサンドバッグは硬くて重いです。
その為に関節の遊びが怪我に繋がる事も有ります。
故障を防ぐためには、関節の剛性を上げなければなりません。
中指・示指の拳を使うメリットは手首の怪我を防ぐ意味でも有効です。
中指 示指を当てるためには、手首を尺屈(手首を小指側に傾ける)させます。
前腕の骨は橈骨と尺骨 二本あります。
手首(手根)が関節するのは橈骨で主に橈骨手根関節です。
尺骨側は靭帯や軟骨の尺骨手根複合体で繋がっていて
そこには、クライマーでも痛めやすい『TFCC』三角繊維軟骨複合体もあります。
(下のイラストは左が橈骨、右が尺骨です)
(手と肘 手関節の痛みイラスト引用)
よって
【手首を尺屈させる】事で尺側に遊びを無くし、故障を防ぐ効果があります。
手首を尺屈させると
自然と肘が身体に近づき脇が締まります。
そうすると
広背筋に力が入り腹斜筋と繋がり体幹が安定します。
体幹が安定すると
腰(丹田)を意識し易くなり重心の移動が楽になます。
その結果
拳に体重の乗った強い突きが打てるのです。
具体的には、下の写真の様になり
正拳中段突きは身体の正中線(急所の集まるライン)をカバーして攻防一体となるメリットもあります。
上から見ると、両方の拳を出せば
二等辺三角形の様な形で
脇が閉まって体幹と一体になっています。
*指からの伝達と手首の使い方はクライミングでもホールドを持つ時に応用出来ると思いますよ。
☆まとめ ☆
『拳の中指と人差し指の中手骨』を当てる理由は
❶指(拳)の剛性が高い
❷手首を傾ける(尺屈)させて脇を締める。
❸ 身体の一体化。
次回は
クライミングの『カチ』や『オープン』
空手の『中高一本拳』や『手刀』の握り方
*手内筋(骨間筋と虫様筋)手外筋の働きをお伝えします。
治療院KAZU
院長 中井一欽