上肢(腕)の使い方について。
手を使うスポーツで重要なのは全身を上手く連動する事になります。
末端(指先・足先)から身体の中心(体幹)なのか?
中心から末端なのか?
前者はいわゆるスポーツや武術で否定される、小手先の動き 手打ちのパンチ等
後者は腰や、身体の中心から力を出す事が重要とされます。
その為の身体の使い方を肩甲骨を軸に説明していきます。
今回は、肩関節を考察していきます。
肩関節は肩関節複合体と言われ
上腕骨・肩甲骨・鎖骨による骨性の要素とそれらに付着する各種軟部組織(筋肉・腱)によって構成されます。
関節機能は、解剖学的な関節と機能学的な関節に分けられます。
前者には肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節が該当し
後者には、C-Cメカニズム・第2肩関節・肩甲胸郭関節が該当します。
今回は、その中の肩甲胸郭関節に着目してご説明致します。
肩甲胸郭関節の機能は
1肩甲骨の固定
2肩関節の可動域拡大
3肩関節の筋力増大
4肩甲上腕リズム
この中で1の肩甲骨の固定を説明していきます(2〜4は機会があれば解説致します)。
関節を動かすのには筋力が必要で骨に付着して お互いを引き寄せる様に作用します。
上腕骨と肩甲骨を比較すると、明らかに上腕骨の方が重く さらに上肢全体(腕)の重さが加わると
上腕骨の方に肩甲骨が引き寄せられる事になります。
肩甲骨が重く中心から力を出す為には、鎖骨や胸郭と連結して体幹と一体化する事です。
その機能を担うのが肩甲骨周囲筋(固定筋)です。
肩関節の運動に伴う固定筋は
屈曲・外転(手を前に出す・横に出す)
クライミングですとホールドを取りに腕を伸ばす。
格闘技ですとサイドとフロントにパンチを出す。
筋肉は
固定筋(固める筋肉)
僧帽筋・前鋸筋
動筋(動かす筋肉)
三角筋・棘上筋
肩関節伸展運動(手を後ろに・クライミングですと身体の後ろ側に腕を引きつける 武術ですと引き手)
筋肉は
動筋
大円筋・小円筋・広背筋
固定筋
大、小菱形筋 ・肩甲挙筋・小胸筋
第一肢位(腕を身体の横に付けた状態)
クライミングですとロック状態、武術ですと脇を締めた状態
そこからの肩関節外旋運動
(クライミングですとガストン
極真空手ですと基本稽古の、三戦立ち正拳顎打ち)
筋肉は
動筋
棘下筋・小円筋
固定筋
僧帽筋の中部繊維・大、小菱形筋
第一肢位での肩関節内旋運動は、大胸筋が胸郭に付着しているので固定筋に依存しなくても活動出来ます。
クライミングですと、スローパーを胸で抑える
格闘技ですとキックボクシングの首相撲
チョークスリーパー・スリーパーホールド等
今回は、肩甲骨と胸郭の関係性で腕の使い方を説明しました。
細かくは、脊柱の関係様々な身体の使い方が在りますが
末端(指先・拳・手)からでは無く
中心(肩甲骨)から力を出す意識を持って頂ければ
指先や肘の故障も少なく 強い力が出せると思います。
御自身の、苦手な動きの克服
得意な動きの向上
に少しでも参考になれば幸いです。
(肩関節拘縮の評価と運動療法から引用)
治療院KAZU
院長 中井一欽